ほうき草栽培プロジェクトでは、浜北畑と半田畑、2か所でほうき草の栽培を行っています。
今回は半田畑の物語。
所変われば品変わるではありませんが、同じ浜松市の土地でもほうき草の生育に違いがあります。
浜北畑の物語と比較しながら読んでいただければ幸いです。
さて、半田畑の始動は5月11日。
雨の予報でしたがなんとか持ちこたえ、曇り空の下、作業を進めました。
半田畑で使う苗床は、ほうき草の根を深く張らせるために、トレー周囲を板枠で囲ってかさ上げし、土を多く敷き詰めたもの。
そこに水を充分撒いた後、箒草の種をパラパラと全体に蒔き広げます。
その上にやさしく土を被せ、水を掛けて終了です。
こういう時は性格がでるもので、「種を全体にパラパラ」のつもりでも偏りが生じたりします。
横目にT氏の作業をみると、実に正確。
ふと、小学校の時に手伝った田植え作業で父親に怒られたことを思い出し、三つ子の魂百までとはよく言ったものだぁなどと思わず含み笑いをしてしまいました。
種の中の次の生命がすくすくと育ち、無事に芽が出ることを楽しみにしています。
5月7日、この日は10名で苗床に種を蒔きました。
天候は晴れ。
今年は伊藤さんがいないため、昨年までのほうき草栽培記録を頼りに活動を始めます。
プランターへの土の入れ方からみんなで確認しながら作業を進めます。
プランター1枚に288穴あり、1つの穴に種を3粒入れていきます。
種が小さく、プランターの穴も小さいためうまく3つの種を落とすことが出来ず苦労しましたが、10人で約2時間にて作業終了です。
コロナ禍で事務所でも工場内でも寡黙になりがちでしたが、この日は何と言っても屋外での作業。
それに不慣れなほうき草栽培の仕事。
慣れない作業をみんなですることでお互いが助け合って、自然に笑い声があっちからこっちから聞こえてきます。
久しぶりに「仲間」を感じることができました。
無事に芽が出ることを願っています。
毎年畑をお借りしている倉田様から今年の畑を確保できたというご連絡をいただき、4月27日、浜北畑の様子を見に行きました。
天候は曇り。
伊藤が退職したことに伴い、今年は製造部のみんなで協力し合いながら進めることになっています。
正直畑を見ても状態がいいのか悪いのかよく分かりませんが、倉田様が事情を把握したうえで用意してくださった畑です。
「きっといい畑」です(笑)。
いよいよ、ここから新しい1年が始まります。
1月21日 今年のほうき草栽培にむけて④ 吾妻箒
海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です!
一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?
前回のブログでは、密植栽培による具体的な作付面積を計画しました。今回は具体的なスケジュールを確認していきます。
例年通り温暖な時期に栽培しますが、改めて過去の実績を見直し、適格な日程を組んでいきたいと思います。
まずは、過去2年の計画と実績をさかのぼって確認しました。
一昨年(2020年)は、異例の長さの梅雨により収穫時期を逃してしまいました。
※上記記録の濃い青色部分、6月2週~7月末までが梅雨でした。
長雨対策として、全体的にスケジュールを後ろに倒したいところですが、お借りしている畑の都合もあり、遅くとも8月上旬には収穫を終える必要があります。
昨年(2021年)は、平年並みの梅雨の長さで、降雨量も少なめでした。ほうき草を栽培する上で非常に恵まれており、およそ予定通りに進められました。
天候はコントロールできませんが、やはり梅雨明けに合わせて収穫できる予定がベストだと考えます。
昨年の実績をベースに今年の計画を立てました。梅雨時期は平年並みと想定しつつ、長雨や生長が遅れる可能性も加味し、梅雨明けから1週間ほど余裕を持って収穫時期を設定しました。
あくまで天候次第で柔軟に対応していく必要がありますが、事前にしっかりと計画を練っておくことで慌てず対処できると考えます。
新しく何かを始める際や、旅行などの準備もそうですが、色々と計画を練っている時間が一番楽しいのかも知れません。今年も無事収穫できるよう、しっかりと準備して参ります。
1月20日 今年のほうき草栽培にむけて③ 吾妻箒
海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です!
一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?
今年のほうき草栽培は、密植栽培にチャレンジすることで心が固まり、今回からは具体的な栽培方法や栽培スケジュールを練っていきます。
密植栽培を進めるにあたり、畝間と株間の間隔を今までよりも短くする必要があります。畝間の長さは現状45センチを取っておりますが、この長さは管理機が入れる目一杯の長さで、これより短くすることは難しそうです。
除草作業をする上で管理機での作業は必須です。管理機の入れない株間の除草は手作業でおこないますが、畝間は管理機の力を借り、効率よく進めたいところです。
よって、畝間は45センチで固定とし、株間を短く詰めていく必要があります。株間は現状30センチで植え付けております。
先日、参考にトウモロコシの密植栽培について調べた際、株間の推奨は20~30センチほどとのことでした。しかし、この間隔は、横に伸びて実を付けるトウモロコシの推奨です。上に伸びた穂を収穫するほうき草(ホウキモロコシ)は更に間隔を詰めても問題なさそうです。今回は思い切って今までの半分の15センチ間隔で植え付けてみたいと考えております。上記写真のほうき草とほうき草の間にもう1本、ほうき草を植え付けるイメージです。
株間を今までの半分に設定することで、単純に今までの2倍の収穫量が見込めます。しかしながら、まずは、ほうき草の品質を高めることが最優先です。収穫量は今までと同等を目標とし、作付面積(畑の規模)を小さくすることで、管理の行き届いた畑を目指します。
もちろん、計算はあくまで机上のもので、実際の畑の大きさや形によって植え方や畝を立てる方向など調整が必要かと思いますが、算出した内容で農家の倉田様に畑の選定を依頼したいと思います。
次回は具体的な栽培スケジュールを確認していきたいと思います。
1月17日 今年のほうき草栽培にむけて② 吾妻箒
海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です!
一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?
前回のブログにて、「密植栽培」のメリットとデメリットを紹介させていただきました。
今回はほうき草を密植栽培で育てるにあたり、デメリットの解決方法を考えていきます。
デメリット①農作物が思うように生長しない可能性がある
ほうき草の正式名称は「ホウキモロコシ」と呼ばれ、トウモロコシの変種だとされております。改めてトウモロコシの密植栽培実績を調べてみると、トウモロコシは風で花粉を運ぶ「風媒花(ふうばいか)」なので、密植栽培に適しているようです(※株間が広いと雄蕊から雌蕊へ花粉が届かず、実の数が少なくなるようです)。
しかし、密集しすぎると横に伸びる実の生長の妨げになるため、20~30センチの株間は必要とのこと。その点、実を付けず、真上に伸びた穂を収穫するホウキモロコシは互いの生長を気にすることなく株間を決められそうです。
また、今年も浜北畑と半田畑の二カ所を利用させていただき栽培できる見込みとなっております。どちらか一方の畑で密植栽培にチャレンジし、一方は従来通りの栽培方法で栽培することにより、最低限の収穫量は確保できるよう進めることができます。
デメリット②病気や虫の発生リスク
密植栽培によるもう1点のリスクは、株が密植し、風通しが悪くなることによる虫の発生や病気への懸念です。これまでの栽培でも、除草作業や農薬散布により防除してきましたが、ほうき草を栽培する上で最も気を付けなければいけない点だと考えます。
農家の倉田様からも「虫は密集した雑草の陰を好みます。根元の雑草からほうき草に移り、養分を吸ったり、幼虫がほうき草を食い荒らしたりしますので、小まめな除草が最も大切です」とアドバイスいただいております。
「雑草が小さい内からしっかりと手を掛け、綺麗な畑を保つ」
文章で書くと当たり前で簡単なように見えますが、除草作業の大変さが身に染みているからこそ、その言葉の重さを感じます。しかし、逆に言うと、除草作業さえしっかりおこない風通しを良くさえすれば、虫の発生や病気を抑制でき、デメリットを打ち消すことが可能です。どこまで対応できるか分かりませんが、自分で勝手に限界を設けず、できるところまでチャレンジしてみたいと思います。もし除草作業の手が足りなくなった時は、会社の仲間にも助けてもらえますし、要所で農薬の力も借りながら虫の発生も抑えられると考えます。
密植栽培におけるデメリットも解決できそうな気がします。次回からは具体的な作付面積や栽培計画を練っていきたいと思います。
1月11日 今年のほうき草栽培にむけて 吾妻箒
海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です!
一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?
新しい年がスタートし、連休も明け、本来の生活リズムをようやく取り戻しております。
まだまだ寒い日が続きますが、早くも今年のほうき草栽培にむけて作戦を練り始めました。
今年で8年目を迎えるほうき草栽培、栽培方法にも改良を重ね、年々理想とする品質に近づいてはおります。しかし、毎年安定して同じ物が作れている訳ではございません。昨年の課題を生かし、新しいことへのチャレンジも必要と感じております。
上のほうき草が下のほうき草よりも一回り大きいことが写真でもお分かりになるかと思います。理想とする写真下のほうき草のサイズ感の物が多く収穫できるよう、栽培方法を工夫したい考えです。早速、農作物を小ぶりに作る方法を調べてみたところ、「密植栽培」という方法にたどりつきました。
密植栽培とは字の通り、農作物の株と株の間を密接に育てる栽培手法です。
密植栽培のメリットとデメリットを紹介します。
◆メリット
①農作物を小ぶりに育てることができる
株と株の間を近くすることで、栄養を分散させ、大きく元気に育ちすぎることを防ぎます。ただ、キャベツなど農作物の種類によっては、互いに共栄し大きく育つこともあるようです。
②雑草の抑制
農作物が密になることにより、雑草の生えるスペースが減少し、雑草への日当たりが悪くなることで、雑草の成長を抑制することができます。
③省スペース化・効率化
密に育てることにより、同じ収穫量でもコンパクトな畑(面積)で栽培することが可能です。また、作業範囲が狭くなるため、作業効率のアップも見込めます。
◆デメリット
①農作物が思うように生長しない可能性がある
メリット①の注意点でも記載しましたが、農作物によっては逆に大きく育ってしまったり、密になりすぎたことにより、理想とするサイズまで生長しない可能性もあります。
②病気や虫の発生リスク
密に栽培することにより風通しが悪くなり、農作物の病気や虫がついてしまう可能性があります。
以上が、農家の倉田様から教えていただいた情報や伊藤自身で調べてみたメリット・デメリットとなります。メリットばかりに気を取られ、全く収穫できないようなことになっては本末転倒です。
次回は、デメリットに対する対応方法を検討してまいりたいと思います。
1月8日 2022年も始まっております 吾妻箒
海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です!
一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?
新しい1年も始まり、気持ちもリフレッシュして業務に励んでおります。この日は伊藤の師匠である鈴木氏に編み込んでいただく箒の原料「ほうき草」を発送しました。
師匠の編込んだ濱松出世箒は、発売から5年が経過しましたが、ご好評をいただいております。原料であるほうき草は、栽培した年により出来栄えや風合いに若干差が出ますが、いつも変わらず安定した品質の箒を編み上げていただいております。
伊藤自身でも箒を編み込むようになってから、良い箒を作るには良い原料を作ることが大事だと身を持って感じております。師匠にほうき草を送る際には、「今回のほうき草の出来栄えは満足していただけるだろうか?」といつもドキドキしながら準備しております。
箒が完成した際には、今回のほうき草の感触や課題点をお聞きし、2022年の栽培に生かしていきたいと思います。
1月6日 今年もよろしくお願い致します 吾妻箒
皆さま、明けましておめでとうございます。
本日より業務を開始しております。本年も何卒よろしくお願い致します。
正月をゆっくり過ごしたおかげで、自分自身を見つめ直すことができました。
自分で勝手に限界を設けて、問題をやり過ごす自分。
どこか他人事のように物事を見てしまう自分。
箒職人としてもっともっと腕を上げるためには、編む技術だけでなく、自分自身の心を磨かなければならないと気づきました。
弊社の行動基準である「お客様指向で考え、行動します」。お客様の期待に応える姿勢こそが自分自身を成長させる・・・、この誓いを改めて心に留め、活動して参りたいと思います。
年末年始に頂いたご注文分につきましては、本日準備させていただき、明日から順次発送させていただきます。商品到着まで今しばらくお待ちください。
今年一年、皆さま方におかれましても幸多き一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。今年もよろしくお願い致します。